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HOME > コラム > 時事法律コラム > 「入管法分野に関し、弁護士、行政書士、入国管理局に求められること」

時事法律コラム
山脇

2010/10/25

【行政】 入管法分野に関し、弁護士、行政書士、入国管理局に求められること

山脇康嗣

1 弁護士、行政書士に求められること


入管業務は、外国人の人生に直接関わることであり、運命を左右します。即ち、入管法上の各種手続は、外国人が上陸、就学、就職、転職、結婚、出産、離婚するときといった、人生の重要な節目において行うものとなっており、まさに、人間ドラマを扱う業務です。よって、入管業務を扱う弁護士、行政書士には、入管関連法令や実務上の運用に係る正確な理解が必須であるのはもちろんのこと、外国人一人ひとり異なる在留状況という人間ドラマを扱い、それを的確に分析し、その者の在留を認めさせるにたる説得的な評価・意味づけ作業を行わなければならない以上、人間というものを知る不断の努力も求められます。

外国人にとっては、在留資格は、それを失えば日本にいられず、命の次に大切なものであるともいえるがゆえに、外国人は何とか在留資格を得ようと必死になり、時には虚偽申請、虚偽証拠の提出等を考えることがあります。入管業務を扱う弁護士、行政書士にはそれらの行為を絶対に許さないという「厳しさ」が求められるとともに、不利益に斟酌されうる行為を自身に依頼するより前に行ってしまった外国人に対して、なぜそのような行為を行ってしまったのか動機や背景等を寛容な精神でじっくり聞き出し、やむにやまれぬ行為であったという評価・意味づけができないか、あるいは深い反省の態度を示すことでなんとかフォローできないかを必死に探る「優しさ」も求められると考えます。人間は、国籍を問わず、不条理、不合理で弱い生き物であり、過ちをおかしてしまいがちです。弁護士、行政書士には、依頼人である外国人に多少の不利益な点があっても、何とか許可への突破口はないかを探し続け、あきらめない「粘り強さ」も求められます。

さらに、入管手続から派生する業務を含めた広い意味での入管業務(外国人・外国企業関係業務)には、労働法、社会保障法、租税法等の知識も必須です。外国人社員の人権と企業の営利性を両立させ、人と企業がともに成長できるよう、適切な外国人労務管理体制や国際税務戦略(タックス・プランニング)を確立すべく、弁護士等の法律専門家は、企業に対し、専門的助言や指導を継続して行う必要があります。従前は入管業務におけるこのような企業法務的な側面があまり意識されてこなかったきらいもありますが、今後は特に意識して業務を遂行すべきと考えます。


2 入国管理局に求められること


入国管理局には、審査の慎重化と手続の適正の徹底が求められます。審査の慎重化については、まず、合理性を欠いた事実認定又は評価による不許可処分を防ぐために、審査をより慎重に行うという意味があります。また、許可要件を明らかに満たさない申請に対し、誤って許可処分を行うことがないよう、審査をより慎重に行うという意味もあります。実際、許可要件を満たしていないことが明らかであるにもかかわらず、許可されてしまっている例が散見されます。これは、業務量に比して職員数が足りず、審査体制が手薄とならざるをえない場面があることが主な原因であると考えられます。「出入国の公正な管理」(入管法1条)のために、職員数を大幅に増員した上で、提出された資料の緻密な検討、裏付け調査等をより積極的に行うべきであると考えます。

上記のような審査の慎重化のためには、その必須の前提として、手続の適正が強く求められます。よって、その重要性に関する職員の抜本的な意識改革が必要であるのはもちろんのこと、手続の適正を担保するための立法的手立ても行うべきです。例えば、正規滞在者については、不許可処分を予定する場合の事前の反論の機会の付与、行政手続内における不服申立て制度、理由付記の義務付け、弁護士の代理権の明確化ないし強化(申請書提出時点以降の受任による追加資料提出や不許可理由聴取等に係る代理、口頭による協議等)、非正規滞在者については、退去強制手続開始時点における代理人弁護士選任権の告知、違反調査及び違反審査における取調べの可視化、調書の開示請求権等を規定する入管法改正の検討が必要であると考えられます。


(2010年10月執筆)

執筆者プロフィール

山脇康嗣 (ヤマワキコウジ)

1977年大阪府生まれ
慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法務研究科専門職学位課程修了
東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、現在弁護士
外国人の入国・在留手続、外国人の人権問題その他外国人の法的諸問題を取り扱う第二東京弁護士会国際委員会第4部会幹事

<主要著書>
「事例式民事渉外の実務」平成14年・新日本法規出版(分担執筆)
「こんなときどうする外国人の入国・在留・雇用Q&A」平成4年・第一法規(分担執筆)

<所属事務所>
さくら共同法律事務所

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