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HOME > ニュース&ダイジェスト 法令 > 法案の解説と国会審議 > 「耐震強度偽装対策立法第2弾」

法案の解説と国会審議

耐震強度偽装対策立法第2弾

〜建築士法等の一部改正の成立〜

平成18年12月20日公布 法律114号

著者:大森麻衣

■耐震強度偽装問題への取組の経緯

平成17年11月に構造計算書偽装問題が明らかになって以来、国民の間に建築物の耐震性に対する不安と建築界への不信が広がっている。こうした状況を打破すべく、平成17年12月、社会資本整備審議会建築分科会に基本制度部会が設置され、建築確認・検査制度の今後の在り方等について審議が行われ、平成18年2月に中間報告が取りまとめられた。

政府は、この中間報告等を踏まえ「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案」を平成18年の第164回国会(常会)に提出し、同法案は、6月に成立した。この改正法においては、建築確認・検査の厳格化(高度な構造計算を要する一定高さ以上の建築物等について構造計算適合性判定の義務付け、3階建て以上の共同住宅について中間検査の義務付け等)、指定確認検査機関の業務の適正化(指定要件の強化、特定行政庁への立入検査権限の付与等)、建築士等に対する罰則の大幅な強化等の措置が図られることとなった。


■建築士法等改正案の提出と成立

一方、建築士の資質、能力の向上、専門分野別の建築士制度の導入など建築士制度に係る課題等については更なる検討が必要であるとし、中間報告においては「施策の実現に向けて引き続き検討すべき課題」として位置付けられ、基本制度部会においては、引き続き、これらの課題について審議が行われた。中間報告取りまとめ以降、基本制度部会において6回にわたる審議を経て、平成18年8月31日「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について」の最終報告が取りまとめられ、同日、建築分科会の議を経て、社会資本整備審議会の「答申」として北側国土交通大臣(当時)に提出された。答申を踏まえて、平成18年秋の第165回国会(臨時会)に建築士法等改正案が提出され、12月13日に成立した(公布は12月20日)。


■建築士法等改正案の概要

建築士法等改正案の概要は、次のとおりである。

建築士の資質、能力の向上に向けた措置として、(1)建築士に対する定期講習の受講義務付け、(2)建築士試験の受験資格の見直し(学科主義から科目主義へ、建築実務経験を設計及び工事監理等に制限)を行う。また、高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化に向けた措置として、(3)一定の建築物について、新たに創設する構造設計一級建築士及び設備設計一級建築士による法適合チェックの義務付けを行う。さらに、設計・工事監理業務の適正化のための措置として、(4)建築士事務所を管理する管理建築士の要件強化、(5)設計又は工事監理契約締結前の管理建築士等による重要事項説明及び書面交付の義務付け、(6)一定の建築設計等についての一括再委託の全面的禁止を行う。また、団体による自律的な監督体制確立に向けた措置として、(7)建築士事務所協会等の法定化、(8)建築士会、建築士事務所協会等による建築士等に対する研修の実施を行う。


■法案に関する主な論議

【免許更新制導入の見送りと定期講習の受講の義務付け】

免許更新制度の導入については、社会資本整備審議会でも議論になったところであるが、更新制度を採用している資格は、運転免許、海技士免許、狩猟免許といった身体機能と密接に関係があるような試験に限定されている。弁護士などの他の資格と同様に、建築士資格も身体機能の低下による能力低下は考えにくく、免許の更新制の導入は困難と考えた。本改正案では、建築士に定期講習の受講を義務付けることによって、建築士の能力の維持向上が図られて、実質的に免許の更新制と同様の効果があるものと考える旨の答弁があった。

答弁のように、免許更新制導入の見送りの代わりに導入されることになったのが、建築士事務所に属する建築士等に対する定期講習の義務付けであるといってよいかと思われる。事実、定期講習の実効性確保策として、修了考査を実施し、修了考査不合格の場合は再度講習の受講を義務付けること、受講義務違反の場合は戒告、従わない場合は業務停止もしくは免許の取消処分を考えているとの答弁があった。さらに、定期講習を受講したかどうかを一級建築士証に記載し、消費者に分かるようにするとの考えを示している。


【構造・設備設計一級建築士の人材確保見通し】

構造・設備設計一級建築士は一級建築士資格を前提としているが、構造・設備設計に従事する建築士の割合は低い状況にあるため、十分な人材が確保できるのかが論議された。

これについて、構造設計一級建築士が関与すべき一定の規模以上の建築物(高さが20メートルを超える鉄筋コンクリート造の建築物等)は年間6、7万件、これに対し、現在、構造設計を行っている建築士が約1万人程度と推計されており、そのうち、日本建築技術者協会(JSCA)の建築構造士が約2,500人、日本建築士会連合会の構造専攻建築士が約900人いる。これらの者が構造設計一級建築士になると想定しており、少なくとも3,000人から3,400人いることになる。これらの数字を勘案すると、対応可能と考えている旨の答弁があった。

また、設備設計一級建築士が関与すべき建築物(3階以上の床面積が5,000平方メートルを超える建築物)は年間約3,500棟と想定している。一級建築士資格を有する建築設備士は約3,000人おり、これも十分に対応可能との考えが示された。

なお、本法施行までの間に、地域的に見ても人材不足が起こらないように、関係団体と連携を図りながら人材育成に努めるとともに、人材が少ない地域に関しては、関係団体と協力して設備設計一級建築士のあっせんを行うこと等について検討したいとの答弁があった。


【設備設計一級建築士創設による建築設備士への影響】

設備設計については、従来、建築士法20条4項に基づく「建築設備士」資格が存在している。このため、設備設計一級建築士の創設による建築設備士の業務への影響について論議された。

これについて、建築設備士は、建築士が設計を行う際に建築設備計画についての助言を行い、設備計画の内容について不都合な点を指摘する資格者として建築士法上位置付けられており、本改正案はその位置付けを何ら変えるものではない。引き続き、建築設備の適切な設計、工事監理を確保するために、建築設備士が活用されるように期待している、本改正により建築設備士の仕事が減少するものでないことを周知徹底したいとの考えが示された。

この点、参議院での参考人質疑において、牧村功参考人((社)建築設備技術者協会会長)は、設備設計一級建築士は設備設計を統合する役割、建築設備士は各分野(例:電気)のプロフェッショナルとしての役割を持ち、双方が議論を行うことで設備設計は出来上がっていくものであり、建築設備士にとって本改正による大きな問題はないとの見解を示している。(ただし、新聞記事等によると、他の設備関係団体からは設備設計一級建築士の創設に対して不安の声も上がっており、設備関係者の中でも見解は必ずしも一致していないようである。)

この点に関し、参議院国土交通委員会では「建築設備設計・工事監理業務において重要な資格として運用されている『建築設備士』について、設備設計一級建築士制度の下においても、より一層の活動・活躍ができるようその有効活用が図られるとともに、関係規定の適切な運用がなされるよう、特定行政庁、建築士関係団体等への周知徹底を図る」旨の附帯決議を付している。

建築設備士資格を有する者の一級建築士試験の受験資格要件の見直しについては、建築設備士の知識及び技能を適切に評価できるように総合的に検討していきたいとの考えが示された。


【業務報酬基準の見直しの必要性】

今回の改正案には盛り込まれなかったが、委員会審議で再三取り上げられたのが建築士の業務報酬の見直し問題である。これについては次のような答弁があった。

現行の業務報酬基準は、昭和54年に作られた建設省告示1206号に基づいており、この業務報酬基準は、標準的な業務内容、業務量を人日という形で示し、建築士事務所における業務の適正化を担保するとともに、建築主にとっても委託する設計業務、工事監理業務の報酬決定に際しての目安になることを目的にしたものであるが、近年、業務実態に合わなくなっているという指摘があり、今後所要の実態調査を行った上で、報酬基準を見直したい。

衆議院での参考人質疑において、宮本忠長参考人((社)日本建築士会連合会会長)は、きちんとした仕事をするにはきちんとした報酬が必要ということをもっと主張し、一般の人にわかってもらう努力が必要との考えを示している。また、仙田満参考人((社)日本建築家協会会長)は地方自治体でも報酬基準どおり運用されていないことが一番の問題、と指摘している。


   ◇   ◇   ◇   ◇


なお、平成19年の166回国会(常会)に耐震強度偽装対策立法第3弾である「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案」が提出され、同年5月に成立した。これにより一連の耐震強度偽装対策立法が完結している。

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悪質・危険運転者対策、高齢運転者対策等の推進

 

(〜道路交通法の一部改正〜 平成19年6月20日公布 法律第90号)

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