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法案の解説と国会審議

景気対策が主体の20年度第2次補正予算

−焦点となった定額給付金問題−

平成21年1月27日成立 平成20年度第2次補正予算

著者:小野 亮治

国際金融危機下で日本経済も急激に悪化

日本経済は、平成19年10月を山に景気後退局面に入り、20年に入ると更に原油等資源価格や食料品価格の高騰等から、企業収益の減少、物価上昇に伴う消費抑制の動きが目立つようになった。そして、欧米を中心にサブプライム問題の影響が拡がる中、同年9月15日、米国の証券会社リーマンブラザーズが経営破綻すると、それを機に金融危機が一気に顕在化し、その影響はヨーロッパへも飛び火して、世界同時株安、国際的な金融危機を招くこととなった。

日本経済においても、世界的な景気後退、円高、株価低迷等の実体経済への波及が表面化し、特に、輸出の大幅減少は外需依存度の高い日本経済に深刻な影響を与えた。これまで日本経済を引っ張ってきた輸出関連企業を中心に、生産、企業収益、設備投資の大幅減少をもたらすとともに、派遣社員の雇止めや解雇、新卒者の内定取消し等が拡がり、雇用情勢が急速に悪化した。

当初、国際金融危機の日本経済への影響は軽微との見方が多かったが、実体経済への影響が拡がるにつれ、輸出頼みで成長を続けてきた経済の弱さが一気に露呈し、再びデフレ懸念も強まる中、景気は一段と深刻さを増すこととなった。


相次ぐ経済対策

国際的な金融危機、景気後退が拡がる中で、諸外国では、利下げや市場への資金供給、更には金融機関への資本注入等の金融面の対応と合わせて、米国(8250億ドル(約74兆円)程度<民主党案>→景気対策法7870億ドル(約72兆円))、EU(2000億ユーロ(約24兆円)程度)、中国(4兆元(54兆円)程度)など、相い次いで大型の経済対策が打ち出された。

日本でも昨年来、3次にわたり経済対策が策定され、まず20年8月の「安心実現のための緊急総合対策」(事業規模11.5兆円程度、財政支出1.8兆円程度)では、原油高対策、中小企業の資金繰り対策、学校耐震化の前倒し等が盛り込まれ、これらを受けた20年度第1次補正予算が、同年10月に成立した。

第1次補正予算審議の際にも、既に世界金融危機への対応、追加経済対策の必要性等が度々指摘され、第1次補正予算成立からわずか2週間後の10月30日には、「生活対策」(事業規模26.9兆円程度、財政支出5.0兆円程度)がとりまとめられた。具体的な施策としては、2兆円規模の定額給付金の支給、高速道路料金の引下げ、中小企業の資金繰り対策等が挙げられた。

その後、景気が厳しさを増すのに伴い、派遣社員など非正規労働者の雇止め、解雇等の動きが拡がるなど雇用情勢の急激な悪化が進む中、同年12月19日には、雇用対策等を中心に「生活防衛のための緊急対策」(財政措置10兆円程度、金融面の対応33兆円程度)が策定された。そこでは、雇用保険料の引下げ、雇用維持や再就職支援等の雇用対策のほか、金融市場安定化・資金繰り対策等が柱とされた。

一連の経済対策の事業規模は合計75兆円程度、財政措置は12兆円程度(重複分を除く)となり、これらの施策は、20年度第1次補正予算のほか、20年度第2次補正予算及び21年度当初予算等で対応することとなった。


「生活対策」等を受けた第2次補正予算

「生活対策」等を実施するための20年度第2次補正予算の規模は4兆7858億円となった。主な内容は、歳出面では、家計緊急支援対策費(定額給付金関連)2兆395億円のほか、中小・小規模企業支援等対策費5048億円(セーフティネット貸付・緊急保証枠の拡大等)、地域活性化対策費7546億円(高速道路料金の引下げ等)、住宅投資・防災強化対策費2393億円(学校・公共施設の耐震化等)、地方公共団体支援対策費(地域のインフラ整備を進める地域活性化・生活対策臨時交付金関連)6000億円及び雇用対策費1600億円などとなった。なお、税収落込みに伴い減少する地方交付税については、減少分を補てんする措置が講じられた。

他方、歳入面では、「生活対策」の財源は特例国債に依存しないこととし、財政投融資特別会計の金利変動準備金の取崩しにより4兆1580億円等を充てることとしたが、景気後退に伴う税収の落込み(約7.1兆円)については、特例国債を6兆6890億円増発する等により賄われた。

景気が急速に悪化する中、野党側からは、第2次補正予算について年内の早期提出を求める意見も出されたが、第1次補正予算が順調に作用しているほか、法人税等の税収減少の状況を見極める必要があることなどから、年内の提出は見送られ、第2次補正予算の提出は年明けの1月5日となった。


定額給付金削除の修正案提出

「生活対策」に盛り込まれた定額給付金は、総額2兆円を限度に年度内に実施することとされたものの、具体的な実施方法については、政府・与党内でも様々な議論があり、特に所得制限を巡っては議論が紛糾したことが報じられた。結局、与党合意では、所得制限を設けるかどうかは各市町村が決定することとなり、また、支給額等は1人当たり1万2000円(65歳以上及び18歳以下の者は2万円)となった。なお、事業の実施主体・経費負担については、国が地方公共団体に対し補助率10/10の補助金を交付し、各地方団体が自治事務として実施する形が採られた。

この定額給付金については、国民の間で「バラマキにすぎない」「その予算をフリーター対策など他の施策に充てるべき」など、否定的な意見が多いことが伝えられた。こうした中、国会論議でも、定額給付金について、―蠧誓限が事実上なくなり、日常生活に何ら支障のない高額所得者でも受給できるなど、生活支援のための施策としては整合性を欠いていること、∪府自身がGDP押し上げ効果を0.15%と試算しているように、景気浮揚効果がほとんど期待できないこと、9颪了楮でありながら法律を制定せず、地方の自治事務として実施することなど、様々な問題点が指摘された。

野党側(衆議院では民主、社民、国民新の3会派提出、参議院では民主、社民の2会派提出)からは、衆参の予算委員会で、20年度第2次補正予算から定額給付金に係る経費を削除する旨の修正案が提出され、補正予算と合わせて審議が行われた。

衆議院の予算委員会では修正案は否決され、第2次補正予算は政府原案どおり可決、参議院に送られたものの、野党が多数を占める参議院では、修正案が可決され修正議決となり、補正予算に対する衆参の議決が異なることとなった。その後、両院協議会が開催されたものの意見の一致を見るに至らず、憲法第60条第2項の規定により、衆議院の議決が国会の議決となり、1月27日、補正予算は原案どおり成立することとなった。

なお、両院協議会の議論の中では、定額給付金の是非のほか、両院協議会についての国会法の規定見直しをはじめ、協議会のあり方についても議論が行われ、今後、両院において両院協議会のあり方につき検討を進める方向となった。平成6年の政治改革関連法案など法案審議の際には、これまで両院協議会で成案が得られた事例はみられるものの、予算について両院協議会で成案が得られたことはない。今後、両院協議間での審議がどのようなものになっていくのか注目される。


審議が遅れた財源特例法案

20年度第2次補正予算の関連法案としては、税収の落込みに伴う地方交付税の減少及び地方道路整備臨時交付金の減少を補てんする法案のほか、景気対策の財源を手当するため、財政投融資特別会計の金利変動準備金を取り崩して財源として繰り入れる、いわゆる財源特例法案(平成20年度における財政運営のための財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案)が提出された。また、定額給付金の実施に反対する野党側(民主・社民の2会派提出)からは、財投特会から定額給付金相当額の繰入を取りやめる等を内容とする法案(平成20年度における財政投融資特別会計からの繰入れの特例及び同年度における生活・経済緊急対策の実施についての制限に関する法律案)が参議院に提出された。

第2次補正予算は1月27日に成立したものの、財源特例法案の審議の遅れから、政府は法案成立まで、該当する部分の財源、すなわち財政投融資特会からの繰入分(約4.2兆円)に相当する経費の支出を留保することとし、その結果、定額給付金(約2兆円)など生活対策等の経費の大半について、予算執行が行われないという事態が生ずることとなった。こうした第2次補正予算に計上された生活対策関連の経費の執行について、政府は「原則として財源特例法案の成立が必要と考え、定額給付金もその財源が確保されていないことから当面は執行を見合わせる。但し、定額給付金支給に係る地方自治体の事務経費など年度内執行に不可欠な準備経費は、補正予算の早期執行の必要性や財政法の趣旨等を総合的に勘案し、(当該法案の成立前でも)執行を開始する」旨の考えを示している。

こうしたケースの対応については、「法律論だけからすれば、既に予算が成立し、政府に予算を執行する権限が付与されていることから、予算計上された経費は執行可能であり、財源特例法案の成立が見込まれる中、実際に執行するかしないかは政治判断の問題となる。仮に、財源特例法案が成立せず、財源不足となった時には、決算段階で決算調整資金からの繰入により補うしかない。現在、同資金は残高ゼロであり、必要な資金は国債整理基金特会から繰り入れられる」旨の指摘もみられる* 。今回のように予算は成立したものの、財源特例法案が未成立の場合、該当する財政投融資特会からの繰入ができないことは明らかであるが、歳出予算の執行のあり方については、しっかりとした議論が求められよう。


重要性増す雇用対策

昨年秋以降、雇用情勢の急速な悪化が進み、年末年始の年越し派遣村の報道等では非正規労働者をめぐる雇用問題が一段とクローズアップされた。厚生労働省の調査では、派遣社員など非正規労働者の雇止めや解雇について、20年10月から21年3月までに実施済み又は実施予定として把握できているものは、全国で15.8万人に達した(21年2月報告:21年2月18日時点)。非正規労働者の雇止め等の状況については、20年11月報告の3万人が、12月報告で8.5万人、1月に12.5万人、そして2月15.8万人と、調査を重ねるごとに増加してきている。

こうした中、第2次補正予算では、都道府県への交付金により緊急雇用創出事業を実施し、地方公共団体が職を失った非正規労働者等を対象に一時的な雇用機会等を創出する経費として1500億円(一般会計)が計上されたほか、都道府県に基金を創設し創意工夫を凝らした事業の実施を支援する「ふるさと雇用再生特別交付金」の経費2500億円(労働保険特会)等が計上された。

さらに、21年度予算では、雇用保険について、非正規労働者の適用基準を拡大(雇用見込1年以上→6か月以上)するほか、雇用保険料の労使各0.2%引下げ(21年度のみ)を実施し、また、不安定就労者に対する住居・就労支援等の措置を講じることとしている。

しかし、かつてないほど一気に大量に失業者の発生も予想される状況下では、これらの雇用対策では力不足で、また、地方公共団体の雇用についても一時的雇用では問題の基本的解決にはつながらない等の指摘もあり、どれだけ実効性ある対策となるのか疑問視する見方は多い。未曾有の不況を前に、製造業等への派遣に対する規制の復活を求める声も拡がる中、雇用の維持に有効な対策をいかに実行できるか、景気対策に占める雇用対策の重要性が一段と増してきている。


企業の資金繰りへの対応

景気悪化が急速に進む中、中小企業等を中心に企業倒産の増加が目立ってきており、特に、業績は悪くないにもかかわらず、資金繰りの悪化から倒産するケースも指摘されている。また、海外経済の悪化から、輸出関連の規模の大きい企業でも資金繰りの困難さが増してきている。

中小企業の資金繰り対策としては、一連の経済対策により、緊急保証制度の枠が20兆円に拡大(1次補正:6兆円、2次補正:14兆円)されるとともに、日本政策金融公庫によるセーフティネット貸付の枠が10兆円に拡大(1次補正:3兆円、2次補正:7兆円)され、合わせて30兆円規模の融資・保証枠が設定された。

また、金融機関への資本注入枠の拡大(1次補正:2兆円→12兆円)のほか、主に大企業や中堅企業を想定したCP購入や融資(2次補正:約1.5兆円の損失補償)も実施されることとなった。そのほか、日銀による企業のCP購入や銀行保有株の買取等も行われることとなり、さらに銀行等保有株式取得機構による最大20兆円の株式買取を実施するための法案が提出されている。

資金繰り対策は、企業のダメージが軽いうちほど効果があると言われ、年度末をはさんで、こうした一連の資金繰り対策がどれだけ実効あるものとなるのか注目される。


連続する税収の過大見積もり

日本経済が一昨年秋に後退局面に入り、さらに昨年9月以降、急速に悪化の様相を強める中、近年、政府の税収見積もりは、過大見積もりが続いている。19年度には、当初予算の税収53.5兆円が決算では51.0兆円(▲2.5兆円)に減少し、翌20年度は当初予算の53.6兆円が第2次補正予算で46.4兆円(▲7.2兆円)へと大幅に減額修正された。

多くの企業で減益、更には赤字決算が見込まれており、法人税の大幅減少はもとより、雇用・所得面等の厳しさも増していることから、所得税や消費税等の落込みも避けられない状況となっている。更なる景気の悪化も見込まれる中、21年度当初予算の税収46.1兆円も、前年度の補正後税収(46.4兆円)からみれば、ほぼ同水準の税収が維持される形となっており、依然、政府の税収見積りは過大の可能性が濃厚であろう。

従来から、政府の税収見積もりは、経済の動きを後追いする形となり、景気後退局面では過大見積もりが続き、逆に景気上昇局面では過少見積もりとなることが多い。税収が不足すれば国債の増発につながり、逆に税収が余剰となった場合には、安易な歳出増加につながる可能性が大きくなること等が指摘されている。的確な税収見積もりが求められる所以である。特に、今回のように景気が急速に悪化するケースでは、税収見積りが甘いと、景気対策による歳出増加と税収不足が相まって、短期間に急激かつ大幅な財政状況の悪化を招きやすく、より慎重な見積もりが求められよう。


強まる追加景気対策の実施求める声

21年に入ると、昨年秋以降、急激に悪化した輸出、生産等の経済指標が相次いで発表され、特に、2月中旬に発表された20年10-12月期の実質GDPは前期比年率12.7%減(実質経済成長率)と、第1次石油危機後の昭和49年1-3月期(同13.1%減)以来、約35年ぶりの大幅なマイナスとなった。同じ時期に米国の実質成長率が年率マイナス3.8%、ユーロ圏も同マイナス6%前後となり、当初、世界金融危機の影響は軽微と見られていた日本経済で、経済成長率のマイナス幅が一番大きくなった。

我が国の実体経済の悪化が顕著となる中、21年度経済見通しの下方修正が相次ぎ、日銀では実質マイナス2%(政策委員見通しの中央値)、IMFでは同マイナス2.6%となり、民間研究機関の見通しは4%程度のマイナス成長を見込むところが増えてきている。

経済状況が急激に変化してきており、経済対策が後追いの形になって質量ともに不十分な内容になってしまっているとの指摘は多い。一連の経済対策は事業規模75兆円といっても、いわゆる真水の財政支出はわずか12兆円とその2割にも満たない。実際、経済対策による実質GDP成長率押上げ効果は、政府試算でも1%程度にとどまっている。経済の急激な悪化が明らかになり、21年度当初予算の成立を前に早くも、4月以降早期に追加の大型経済対策の策定と21年度補正予算の編成を求める声が強まってきている。

100年に1度とも言われる今回の世界的な金融危機と景気後退の中、その影響が直撃した外需依存の日本経済を立て直すにはどうしたらよいのか、雇用をはじめとする実効ある緊急措置の実施はもとより、中長期にわたる経済成長戦略の姿をどう描き、それを経済対策に具現化していくかが求められている。


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