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法案の解説と国会審議

新政権下で初の予算審議

−21年度第2次補正予算と22年度当初予算の審議を振り返って−

平成22年1月28日成立 平成21年度第2次補正予算 平成22年3月24日 成立 平成22年度予算

著者:小川 眞

昨年9月に発足した新政権下での予算編成は、平成21年度第1次補正予算の見直しと平成22年度当初予算の編成を同時に、並行して行うことから始まった。補正予算の執行停止では約3兆円の財源が捻出され、当初、その財源は新規施策の実現に充てるとみられていたが、デフレ基調が強まる中、その大半は景気対策を含む21年度第2次補正予算の財源に充当されることととなった。

また、22年度当初予算の編成においては、予算編成過程に事業仕分けの手法が導入されるなど、従来とは大きく異なる予算編成となったが、経済情勢から税収が大幅に落ち込む中、多額の財源を要するマニフェスト実現のための予算の編成は難航した。そして、22年度当初予算の規模は約92兆円と過去最高となり、歳出抑制・税外収入の確保等を駆使して、国債発行額は目標とした21年度第1次補正後の水準(約44兆円)にかろうじて抑えたものの、23年度以降の予算編成における財源確保が更に難しさを増すことは必至の状況であった。

第174回国会では、まず22年1月18日に21年度第2次補正予算が、そして同月22日には22年度当初予算が国会に提出され、政権交代後、初めてとなる予算審議の動向が注目された。


補正予算の執行停止

平成21年度第2次補正予算は、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を実施するとともに、旧政権時に組まれた第1次補正予算の執行見直しによる執行停止額の減額等を行うため編成された。まず、第1次補正予算の執行停止の理由について政府は、「コンクリートから人へという考えの中で、第1次補正予算に計上された経費のうち不要不急なもの約3兆円について執行を停止したが、これは、単に財源捻出のための執行停止ではなく、財源配分を根本から変えるとの政権の基本方針の下で実施した」との考えを明らかにした。

景気の二番底も懸念される中、補正予算執行停止の経済への影響については、「事業規模約24兆円の緊急経済対策を含む第2次補正予算によりGDPで0.7%程度の押し上げ効果があり、執行停止によるマイナス効果(GDPで▲0.4%程度)を勘案しても、差し引き0.3%程度のプラス効果がある。また、雇用面でも、80万人の雇用維持・20万人の新規雇用創出を見込んでいる」旨の説明が行われた。

また、21年秋に補正予算の執行停止が行われた一方、その予算減額等を行う補正予算の提出は22年1月となったが、こうした補正予算の執行停止と国会議決(財政民主主義)との関係についても議論が行われた。これについて、政府は「歳出予算は支出の上限を定め、その支出権限を内閣に付与するもので、予算を全て使い切る義務を負っているわけではない。今回、不要不急と考えられるものについて執行停止を行ったが、最終的には、今回の第2次補正予算により減額が決定されるもので、憲法の趣旨に沿った処理が行われている」との認識を示した。

一旦、執行停止された予算でも、その後、22年度当初予算等の中で再び同様の予算が計上されるケースがみられた。その理由として、政府は、不要不急の経費の中には時間の経過とともに予算計上が必要になるものがある等の説明を行っているが、その妥当性を判断するためには、これら個々の事業の実態等についての更なる情報公開と国民に対するわかりやすい説明が求められよう。


デフレ論議

日本経済は、20年秋のリーマンショック以降の急激な景気の落ち込みからは脱し、持ち直しの動きを続けているものの、依然、その水準は低く、21年11月、政府は、月例経済報告で「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある」として、日本経済がデフレの状況にあるとの認識を改めて示した。今年に入っても、なおデフレ基調が続く中、政府のデフレ対策への取組みなどについて、活発な議論が行われた。

政府・日銀からは、デフレへの対応について「デフレ脱却には、需給ギャップを埋めることが必要であり、21年度第2次補正予算に続き22年度予算でも、雇用と需要を生み出す施策に重点を置いて予算を編成した。日本銀行においても、低金利を維持し、金融緩和を続けるなど物価と経済の安定に努めており、政府と日銀が一体となってデフレ脱却に向け全力を挙げていく」との方針が示された。

また、インフレターゲット政策の導入を求める意見が出されたが、日銀からは「インフレターゲットを採用している国もそうでない国も、中央銀行の金融政策のやり方は、物価安定の目標等を明らかにするとともに、将来の少し長めの見通しを出し、その上で、金融政策の基本的な考え方を説明する点で、同様な枠組を採用している。但し、今回の信用バブル拡大に際し、短期的な物価の動きに金融政策の焦点を合わせすぎたという反省の機運が世界的に高まってきている。インフレターゲット政策に反対するわけではないが、こうした議論も踏まえ、物価の安定、経済成長の実現に全力を尽くしていきたい」旨の所見が述べられるにとどまった。

10年以上にわたってデフレ状態が続いているにもかかわらず、有効な手だてが講じられていないとの意見は多い。政府・日銀が、いかにデフレ脱却に向けた実効ある施策を打ち出し、その実を挙げることができるかは、経済・財政・金融政策上の大きな課題となっている。


新成長戦略の行方

政府は、21年12月30日、新成長戦略(基本方針)を決定した。そこでは32年度(2020年度)までの平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長を目指すとともに、環境・エネルギー、健康、アジア、観光・地域活性化、科学・技術、雇用・人材といった6つの戦略分野などが掲げられた。政府からは、新成長戦略について「これからの経済政策は、公共事業中心の第1の道ではなく、また、デフレ状態でも経済が効率化さえすればよいという第2の道でもない、雇用と需要を拡大する第3の道を進めていく必要がある。もとより、供給を無視するのではなく、介護、医療、保育といった潜在的な需要がある部分の供給を重視するなど、予算配分を含めて政策運営を変えていく」旨の基本的な考え方が説明された。

また、新成長戦略(基本方針)の決定が22年度予算の政府案決定(21年12月25日決定)後となったことについては、「現在の経済情勢の下、予算の年内編成が極めて重要と考え、それを優先したため、予算編成より成長戦略の決定が遅れることとなった。しかし、昨年来、「緊急雇用対策」「緊急経済対策」を策定し、その中にも成長戦略の考え方は盛り込まれており、新年度予算にも相当程度、反映されている」旨の答弁があり、既に成長戦略を踏まえた予算の計上が行われていることを明らかにした。 

新成長戦略は、目標・施策の深掘り、新たな施策の追加等を行った上で、22年6月頃までに最終取りまとめを行い、その際、「成長戦略実行計画(工程表)」を策定することとしている。経済成長に向けどれだけ実効性のあるものになるのか、具体的な施策の内容・スケジュールなど今後の検討が注目される。


コンクリートから人へ

22年度予算は、一般会計歳出総額が92兆2,992億円、対前年度当初比4.2%増と4年連続して増加し、当初予算としては初めて90兆円を超え、過去最大の規模となった。歳出の主な内訳は、社会保障関係費が高齢化に伴う当然増経費の増加や子ども手当の導入などから27兆2,686億円、同9.8%増と一般歳出の実に51%を占めるまでに拡大したほか、文教及び科学振興費が高校の実質無償化などから5兆5,860億円、同5.2%増などとなった。その一方、公共事業関係費は18.3%減の5兆7,731億円と6兆円を割り込み、昭和53年度の水準にまで削減された。

22年度予算の特徴について、政府からは「従来の予算が公共事業等に依存して景気対策などに当たっていたのに対し、22年度予算では、国民生活が第1と考え、コンクリートから人へという理念の下で予算を大きく組み替えた。その結果、公共事業費を大幅に減額する一方、社会保障費や文教及び科学振興費を増額するなどめり張りを付け、大胆な資源配分の変更ができたと考えている。リーマンショックにより税収が大幅に落ち込む中、景気対策とマニフェストの実現を図る一方、マーケットの信認が得られるよう、国債発行額は約44兆円に抑え、財政規律も踏まえた予算とした」旨の説明が行われた。

また、公共事業費や施設費の予算が大幅減となる中、学校の耐震化の予算について、旧政権下の概算要求額より大幅減となったことについては、「22年度予算に計上された予算の効率的かつ効果的な執行に努めることはもとより、その執行状況を踏まえながら1兆円の経済危機対応・地域活性化予備費を含む2兆円の景気対策枠の活用も視野に入れて、学校の耐震化を積極的に進めていきたい」旨の考えが示された。

なお、予算成立後、衆議院及び参議院の担当委員会(衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会)では、公立学校施設耐震化等の早期実施に関する決議が行われており、予算の速やかな執行、更なる財政措置の実施等が期待されている。


事業仕分けの導入

旧政権下での予算編成は、経済財政諮問会議がいわゆる骨太方針を作成し、それを受けて概算要求基準(シーリング)が設けられ、それに基づき各省庁が概算要求を実施、その後は、主に財務省が各省庁からの予算要求を査定する形で進められてきた。これに対し、新政権下の22年度予算編成では、評価者が各事業の必要性、緊要性などの観点から各事業の仕分けを行う「事業仕分け」の手法が初めて導入されるなど、従来の予算編成過程とは大きく異なるものとなった。特に、事業仕分けが公開の場で行われ、それまで国民にとってほぼブラックボックスであった予算編成が、その一部とはいえ国民の目に見えるものとなったことは、予算編成の大きな変化を印象付けた。そして、事業仕分けの結果の反映等による歳出削減額は約1兆円、公益法人や独立行政法人などの基金等の国庫返納は約1兆円となった。

事業仕分け自体の性格について、政府は、「事業仕分けは、税金の使われ方、事業の必要性、有効性、効率性等について不断の見直しを行っていく手段であり、その結果として、歳出削減が一つの効果として出てくる。それゆえ、事業仕分けそのものは直接歳出削減を目的とせず、削減目標額を定める趣旨のものではない。もちろん、マニフェストを実現していく上で、事業仕分けは歳出のムダを削減する大きな役割を担うものであり、そこに向けた一つの柱と位置付けている」旨の考えを示した。

また、今後の事業仕分けへの取組みについては、「独立行政法人や公益法人を対象とした事業仕分けの第2弾を考えており、独法や公益法人等の実態等を把握し、どういった制度が望ましいのかを検討するなど、ゼロベースでの見直しに取り組んでいきたい」旨の方針が述べられた。

4月から5月にかけて、第2弾の事業仕分けとして、独立行政法人、さらには公益法人を対象とした事業仕分けが行われている。天下り、事業の重複、不要資産の3点に重点的にメスを入れ、統廃合を含めた独法制度の抜本改革などにつなげる等の方針が報じられており、どれだけ実を上げることができるか、その成果が注目される。


財政再建への取組み

22年度予算では、税収37.4兆円に対し国債発行額が44.3兆円となり、当初予算としては、戦後初めて税収が国債発行額を下回ることとなり、公債依存度も48.0%と当初予算としては過去最高となった。このような厳しい財政状況を少しでも緩和しようと財源発掘も行われた。財政投融資特別会計から4.8兆円、さらに外国為替資金特別会計から2.9兆円など、計10.6兆円の税外収入が計上された。いわゆる埋蔵金である。しかし、埋蔵金も22年度でほぼ使い果たしたとも言われている。また、22年度末には、国債残高は637兆円(対GDP比134.0%)、国と地方の長期債務残高は862兆円(同181.5%)に達する見込みで、我が国財政はまさに危機的状況を迎えている。

こうした中、財政の現状や国債消化に対する認識について、政府から「日本の財政状況は、総債務が大きいだけでなく、純債務も急激に悪化しており、OECD諸国の中では最悪の水準にある。また、国債発行総額は、借換債、財投債を含め162兆円という大きな額に上ってきている。こうしたことから、国債発行に当たっては、市場のニーズ・動向をきめ細かく把握し、国債の種類別発行額を定めるなど、市場への影響を極力抑制するよう措置を講じ、円滑な消化に努めていく」旨の考えが示された。

また、今後の財政再建の取組みについては、「様々な議論を踏まえ、今年前半に中長期的な歳入見込み、歳出の骨格等を盛り込んだ中期財政フレームを作成する。その際、中長期の財政規律については、成長戦略を踏まえ、各国の事例も参考にしながら、公的債務残高の対GDP比の安定的縮減など財政再建目標を検討し、「財政運営戦略」を策定する」旨の方針が説明された。

諸外国では、非常時の財政・金融政策を平時に戻す「出口戦略」の議論の中で、経済状況次第では、2011年(平成23年)にも財政再建に取り組む可能性が指摘されている。日本でも、「中期財政フレーム」「財政運営戦略」の作成のほか、政府内では財政健全化法案の提出が模索され始めている。景気の先行きになお不透明感が強い中、今後、どのようにして財政再建への取組みを進めていくのか。財政再建の問題は、今後の政策運営上の大きな論点になる可能性が濃厚である。


税制抜本改革の行方

今後の財政再建と密接に関係してくる税制改革については、「平成22年度税制改正大綱」の中で、税制改革の視点として、「公平・透明・納得」の3原則を基本とするほか、税制と社会保障の一体的な改革の推進、グローバル化に対応できる税制の在り方の検討、地域主権確立のための税制の確立などが挙げられた。

こうした中、税制改革に関しては、21年秋、新政権樹立の際の3党連立政権合意で、消費税率の据置き等が掲げられていることなどから、その方針が改めて確認されたところ、政府からは「先の衆議院選挙による政権担当期間の間は、消費税引上げはしないことを決めている。但し、消費税の在り方は、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて検討していくこととしており、消費税を含め税制全般の議論は進めていく」との考えが示された。なお、所得税法等の一部改正法(平成21年法律第13号)附則第104条では、経済状況の好転を前提として消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとしているが、この規定の取扱いについては「23年度末までのしかるべき時期に判断する」として、今後の検討の中で対応していく方針を示すにとどまった。

また、経済の低迷が続く中、今後の法人税の在り方については、「租税特別措置の見直しを前提としながら、課税ベースを拡げる中で、法人税の税率を基本的には引き下げ、国際的な流れにふさわしいものにしていくことが適当」との考えが表明された。

22年度予算を見る限り、民主党が野党時代から主張していた「予算の全面組み替えによって、必要な財源の捻出は十分可能である」旨の主張を実現することは、結果としてできなかった。そのようなことは困難であることがほぼ明らかになる一方で、消費税を含む税制の抜本改革の必要性が改めて取りざたされるようになってきている。かつて旧政権の時代には、有識者からなる政府税調と与党議員からなる与党税調が並行して議論を行ってきた。これに対し、新政権下では政府税調にその機能を一元化した上で、メンバーを財務相、総務相、国家戦略相、各省の副大臣など議員に限り、有識者は入らないこととした。そして、財務相が政府税調会長に就任している。こうした新しい税調により、今後、税制の抜本改革がどのように議論されていくのか、その行方が注目される。


マニフェストの実施状況

22年度予算におけるマニフェストの実施状況をみると、子ども手当の半額(月額1万3000円)[22年度予算額1兆7,465億円]が支給されるほか、高校の実質無償化[同3,933億円]、農業の戸別所得補償(モデル事業)[5,618億円]、高速道路の無料化(段階的実施)[1,000億円]などが実現したが、揮発油税等の暫定税率廃止については、暫定税率の仕組みは廃止されるものの税率水準は基本的に維持されることとなった。また、実現の運びとなった子ども手当についても、22年度については、現行の児童手当制度の枠組を使うため、地方自治体や企業にも負担を求めることになった。

22年度のマニフェスト関連の予算額は、工程表によれば7.1兆円(暫定税率廃止含む)とされていたが、これら様々な見直し等により3.1兆円に圧縮された。23年度以降、工程表によれば、子ども手当の満額支給[所要額5.5兆円]のほか、農業の戸別所得補償は本格実施[同1.0兆円]、高速道路無料化も対象路線の拡大で所要額が増加するなど、全体の所要額は更に拡大し、23年度段階で12.6兆円へ増加する見込みとなっている。

初年度のマニフェストの実現度合いや今後の取組について、政府からは「22年度には、暫定税率が廃止されたものの税率が維持されることとなったが、子ども手当や高校の実質無償化など多くの施策で、100%ではなくとも実現したり、あるいは着手することとなった。もとより、マニフェストは政権4年間に達成していく政策の項目を掲げたもので、今後とも国民の意見にしっかり耳を傾けながら、順次、政策実現に全力を挙げていく。また、マニフェストの実現に際しては、国債発行ではなく、事業仕分け等を活用しながら無駄遣いの徹底排除を更に進め、財源を確保していきたい」との考えが示された。

しかしながら、税収が低迷する中、23年度以降の子ども手当をはじめとする多額の所要財源については、その多くが今後の検討に委ねられている。消費税引上げを封印した状況下で、いかに財源を確保していくのか。マニフェスト自体の見直しも含め、23年度予算編成に向け検討すべき課題は山積している。


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