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HOME > ニュース&ダイジェスト 法令 > 法案の解説と国会審議 > 「震災復興、一体改革など課題山積の24年度予算審議」

法案の解説と国会審議

震災復興、一体改革など課題山積の24年度予算審議

−困難さを増した財政健全化−

平成24年4月5日成立 24年度予算審議

著者:小川 眞

第180回国会(常会)は、東日本大震災(平成23年3月11日発災)から1年を迎えようとする中、24年1月24日に召集された。24年度当初予算は、召集日当日に提出され、その審議では、大震災からの復旧復興、社会保障・税の一体改革、デフレ下の金融政策のあり方など諸課題が山積する中、経済財政面の様々な問題が取り上げられた。


加速化が期待される震災復興への取組

昨年来、震災の復旧復興経費等を盛り込んだ23年度補正予算が累次にわたって編成された。24年度当初予算でも3.8兆円の震災関連予算が計上され(新設の東日本大震災復興特別会計に計上)、その累計額は18兆円程度に達し、この結果、政府が当初5年間の集中復興期間の事業規模と見積もった19兆円程度の大半の予算が計上されることとなった。しかしながら、当初段階での震災対応の遅れに加え、発災から1年を前に予算執行の遅れなどの指摘も多く、改めて政府の震災復興に取り組む姿勢が質された。

これに対し、政府から「震災からの復興と原発事故への対応、日本経済の再生を最重要課題と位置付けている。特に、震災対応については、4次にわたる23年度補正予算及び24年度当初予算をしっかり執行していくとともに、復興庁や復興特区など新しい組織・制度をフル稼働させて、復興に向けた対応をスピードアップしていくことが大事と考えている」旨の答弁があった。また、懸案のがれきの処理については、「被災地での処理とともに、各自治体に広域処理をお願いするなど、政府全体が一丸となって、具体的な処理を推進していきたい」と述べ、広域処理の促進に全力で取り組む考えを示した。

がれきの広域処理については、24年6月19日時点で、都道府県別では、東京都、山形県、青森県、秋田県、静岡県、群馬県の6都県が受入を行っており、そのほか24都道府県・1広域連合が受入れを検討しているとのことであり、今後の動向が注目される。


実質増加の24年度予算

野田政権として初めての当初予算編成となった24年度予算は、一般会計総額が90兆3,339億円、対前年度当初予算比2.2%減と6年ぶりのマイナスとなった。しかし、特別会計への計上となった復興関連経費や交付国債で手当された年金臨時財源を加えれば、予算規模は96兆円を超える。また、本来、当初予算に計上すべき経費が前年度補正予算に前倒し計上された面も否定できず、この点を考慮すれば24年度予算の実質的規模は更に大きいものとなる。

まず、24年度予算のねらいについて政府は、「無駄・非効率を徹底して排除するため、提言型政策仕分けを反映させた既存予算の見直しや公務部門の定員抑制など歳出削減努力を行い財源捻出を行った。その上で、復興や除染等の事業が切れ目なく実施されるよう、23年度補正予算に続き、3.8兆円の復興予算を確保するとともに、1兆円規模の日本再生重点化措置により、宇宙・海洋関連事業など我が国将来の経済成長に資する施策を盛り込むこととした。こうした観点から、本予算を日本再生元年予算と位置付けている」旨の考えを示した。

また、予算編成の際に用いられた提言型政策仕分けについて、「政権交代以来、事業仕分けを3回実施し、予算、特別会計、独立行政法人、公益法人などについて見直しを推進してきた。今回、政策、制度的な問題まで掘り下げた議論を行う提言型の政策仕分けを実施した。既存の制度の見直しや新しい制度の提言など中長期的に対応することが必要な課題があり、今後とも各府省の取組みを適切にフォローして、改革を強力に推進していきたい」旨の答弁があった。

事業仕分けについては、行政の見直しに一定の効果があったとはいうものの、これまでの歳出削減・国庫納付額の累計は4兆円弱とみられている。今回の提言型仕分けも、24年度予算で、年金特例水準の解消、高速増殖炉サイクル研究開発費の縮減、国立大学法人運営費交付金の縮減など予算に反映されたものの、歳出削減額は数百億円程度と言われ、その実効性には課題が残る形となった。


年金交付国債と中期財政フレームとの整合性

基礎年金の国庫負担割合については、平成16年度以降、従来の3分の1から2分の1へと段階的な引上げが実施され、19年度には約36.5%に引き上げられた。但し、2分の1との差額分については、恒久的な財源の確保に至らず、21年度以降、いわゆる埋蔵金と言われる財政投融資特別会計積立金等の臨時財源(23年度は臨時財源を一旦復興財源として活用した後、復興債で補てん)で賄われてきた。

24年度予算では、これまでのような埋蔵金の確保が見込めない中、国庫負担2分の1維持に必要な経費は一般会計から切り離して、年金交付国債の発行で対応し、その償還は将来の消費税引上げの一部を充てることとされた。こうした手法は、中期財政フレームの国債発行額44兆円を守るため、一般会計の予算規模を見かけ上圧縮したものであり、中期フレームとの整合性など多くの問題が指摘された。これに対し、政府は「年金交付国債は、あらかじめ将来の消費税収を償還財源と決めて発行するもので、中期フレームが歯止めを掛けた市中発行の公債増発とは異なり、中期フレームの修正は必要ないと考えている」旨の考えを示した。

しかし、年金交付国債は、交付時点では当該国庫負担分の財源の繰入は行われず、実際には積立金の取崩しにつながるなど、財政の透明性、年金財政の信頼性等の観点から、特例国債(つなぎ国債)の発行により財源を確保し、国庫負担分の財源繰入を行うよう求める質疑者との間で、議論は平行線をたどった。

その後、政府から、年金国庫負担の差額分の財源確保は、年金交付国債、つなぎ国債の発行等を含め、政党間での協議を要請する意向が示された。そして、社会保障・税一体改革に関する政党間協議の結果、交付国債関連の規定は関連法案から削除されることとなり、交付国債に代わる財源については、別途、政府が所要の法的措置を講ずることとなった(24年6月末現在)。


社会保障・税一体改革

平成23年7月の「社会保障・税一体改革成案」のとりまとめに続き、24年2月には、成案の内容を具体化した「社会保障・税一体改革大綱」が決定され、そして、同年3月、一体改革関連法案が国会に提出された。予算審議では、法案の取りまとめが進められる中、一体改革を行う理由、消費税引上げ分の使途などについて質疑が行われた。

まず、一体改革を進める理由について政府から「人口構成の劇的な変化や厳しい財政状況の中、安定財源を確保して持続可能な社会保障制度を構築することが待ったなしの状況となってきている。短期及び中長期的視点から制度設計を進めるとともに、増税を行う場合には、景気動向等を踏まえた総合的な判断が必要と考えている。政治改革、行政改革、経済再生などを合わせて進めながら、不退転の決意で取り組んでいきたい」旨の考えが示された。

また、消費税5%引上げ分の財源の使途については、政府から「1%分は社会保障の充実、4%分は社会保障の維持・安定化に充てる」旨の方針が示された。より具体的には、(1)社会保障の充実(2.7兆円程度)として、‖垉〇童の解消など子ども・子育て対策(0.7兆円程度)、医療・介護の充実(〜1.6兆円弱程度)、D秉蠧声圓悗硫短擦覆蒜金制度の改善(〜0.6兆円程度)に充てられるほか、(2)社会保障の維持・安定化(10.8兆円程度)としては、’金国庫負担2分の1(2.9兆円程度)、後代への負担のつけ回しの軽減(7.0兆円程度)、消費税引上げに伴う社会保障支出の増(0.8兆円程度)に充てられる方向が示された。


消費税引上げをめぐる諸課題

日本経済はデフレが長期間にわたって続いており、こうした状況下で消費税引上げを行うことの是非についても多くの質疑が行われた。政府からは「デフレ脱却は至上命題であり、日銀と連携をとりつつ、新成長戦略を加速させるなど、しっかりとした対応を講じていく。一体改革法案には、附則に10年間平均で名目成長率3%、実質成長率2%との政策目標を掲げており、目標に近づくため全力を尽くしていきたい。消費税引上げの際には、成長率、物価など様々な指標を勘案し総合的に判断する」旨の答弁があった。質疑では、デフレ下の増税は、経済の更なる悪化をもたらし、財政状況を一段と悪化させるとの指摘も行われたが、政府は「リーマンショックや東日本大震災のような事態が勃発すれば、消費税引上げは行わない」との考えを示すにとどまった。

一体改革法案に盛り込まれた名目3%成長、実質2%成長との文言はあくまで政策目標であり、消費税引上げの前提条件にはなっていない。それゆえ、どのような経済状況であれば、政府が消費税引上げを実施し、あるいは延期するのかについて、具体的な数値といった確たる目安は示されないままでの法案提出となった。

また、消費税には、低所得者の負担が相対的に重くなる逆進性の性格があることから、消費税引上げの際、逆進性対策を講ずる必要性について、度々指摘された。対策としては、生活必需品に対する軽減税率、給付付き税額控除などが議論されたが、政府としては、「給付付き税額控除での対応を考えているが、マイナンバー制が導入されるまでは、現金給付を伴う簡易な逆進性対策を行いたい」との考えが示された。

その後、逆進性対策の必要性が言われる一方、対策がばらまきになるのではないかとの問題が指摘されるなど、複数税率の問題も含め逆進性対策のあり方等について議論が活発化した。各個人の所得の捕捉はもとより、資産をどう把握するかといった問題もあり、適正な逆進性対策の難しさが改めてクローズアップされることとなった。


14年ぶりの暫定予算

平成24年3月末に至るも、24年度当初予算の年度内成立がなお困難な状況であったことから、3月29日、政府は24年度暫定予算を国会に提出した。暫定予算の提出は、10年度以来、14年ぶりのことであった。

暫定予算の提出に至った経緯について政府から、「24年度予算については、経済から外交まで多くの政策課題が山積する中で、集中審議を含め例年以上に丁寧かつ十分な審議が行われた。これにより、政策論議が深まり、国民の諸課題に対する理解の深まりにもつながったと認識している。しかし、結果として年度内成立が困難となり、日本経済の回復に支障を来さぬよう暫定予算を提出したが、こうした事態を招いたことについては、政府として深く反省するとともに責任を感じている」旨の答弁があった。なお、質疑の中では、暫定予算編成に至った理由として、国会召集の時期が遅かったこと、予算審議をめぐる政府の対応の問題等について指摘が行われた。

暫定予算は、3月30日に衆議院・参議院両院で審議が行われ、同日、可決・成立した。かつて、年度内に当初予算が成立せず、度々、予算の空白を生じたことから、参議院予算委員会では、政府に対し、「参議院の予算審議権の十全な行使が制約されることのないよう暫定予算の提出等で対処すべきことを要請する」旨の委員長発言が行われてきた。そして、平成3年には、「憲法第83条、財政法第30条の趣旨から、一日たりとも予算の空白をつくるべきではなく、それは政府及び国会の責任である」旨の暫定予算に関する与野党合意が行われた。

24年度予算は、こうした与野党合意も踏まえ、予算の空白をつくらず年度内に暫定予算の国会提出、成立となった。財政法が予定しない予算の空白をつくらず暫定予算により対応する慣行が定着していくとすれば、財政民主主義の観点からは、一定の前進といえよう。但し、国民生活にとっては、新規予算の執行等が制限される暫定予算ではなく、当初予算の1日も早い成立こそが求められていることは論を待たない。参議院における予算審議権を尊重しつつ、当初予算の早期成立を実現させるための更なる努力、工夫が求められよう。


デフレ下における金融政策のあり方

日本経済は、消費者物価が横ばいないしマイナス基調を続けるなど、長くデフレの状況にあり、需要の低迷、物価下落、賃金の減少という悪循環から抜け出せないことから、政府・日銀のデフレ脱却に向けた取組みについて質疑が行われた。これに対し、政府から「歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行と一層の連携を図り、切れ目のない経済財政運営を行っていく。新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげていきたい」旨の答弁があった。さらに、日銀は「デフレから脱却し、物価安定下での持続的な経済成長を実現していくことは大変大事な課題であり、これまでも強力な金融緩和措置を講じてきている。デフレ脱却には、成長力の強化と金融面からの取組みの両方が不可欠であり、政府と日銀が共通の認識を持ちつつ、しっかりと政策を行っていきたい」旨の考えを示した。

また、日銀は平成24年2月の金融緩和措置の際、中長期的な物価安定のめどとして、消費者物価上昇率1%を目指していく方針を示したが、こうした政策は実質的なインフレターゲットではないかと質された。これに対し、日銀から「今回の措置は、目標とする物価上昇率を達成するために機械的に政策を運営していくというものではないことから、「目標」ではなく「目途」という言葉を使った。しかし、欧州中央銀行では「定義」、FRBは「ゴール」、イギリスは「ターゲット」とそれぞれ言葉は違うが、物価の安定を中長期的に実現していくという考えは基本的に同じであり、日本銀行もこうした考えにより金融政策を行っていく」旨の答弁があった。他方、政府は、「日銀は、消費者物価の前年比1%を目指して、それが見通せるまで強力な金融緩和措置を推進していくとしており、そうした意味で実質的なインフレターゲットを設定したものと受け取っている」旨の考えを示した。

景気は持ち直しの動きを見せているものの、当面、消費者物価は横ばい、ないし下落が見込まれデフレの状態が続くとの見方が多い。更なる強力な金融緩和政策の要請を背景に、日銀法改正を求める意見も見られる中、今後の金融政策の行方が注目される。


おわりに

バブル崩壊後の日本経済は、失われた20年とも言われるように、経済は総じて低迷が続く中、財政状況は次第に悪化が顕著となり、近年は、税収が国債発行額を下回るという異常な事態となっている。この間、一般会計の歳出規模をみると、特例国債から脱却した平成2年度当初予算の66.2兆円が24年度当初予算では90.3兆円へと1.4倍近い増加(約24兆円増加)となる一方、税収は60.1兆円(決算)から42.3兆円(当初予算)へと当時の7割程度に減少(約18兆円減少)している。少子高齢化が進む中、制度改革が実態に追いつかず、歳出はほぼ増加の一途を辿り、他方、税収は長期の景気低迷と減税により、その水準が大きく低下してきている。その差は、埋蔵金などの税外収入と国債で賄われる形となっており、特に、近年は歳出と税収の乖離が大きくなっている。

24年度当初予算では、復興関連予算や基礎年金国庫負担の差額分を一般会計から切り離すなどにより、何とか中期財政フレームを維持した形になっているものの、実質的には、既に中期フレームを逸脱しているとの指摘は否めない。今回の社会保障・税の一体改革にしても、社会保障改革は既存制度の手直しの域にとどまっており、消費税増税も10%への引上げだけでは、平成32年度(2020年度)までの基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標の達成は困難な状況である。抜本改革が先送りされる中、歳出と税収の乖離を縮め、財政健全化を実現していく確たる道筋は示されていない。

財政再建の手法は、基本的には、歳出削減、経済成長による税の自然増収、そして増税の3つと言えよう。これらをどう組み合わせ、どういう手順で実施していくのか。財政再建の困難さが増す中、政府がいかに実効ある取組みを実現していくのかが問われている。


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東日本大震災からの復旧復興をめぐる予算審議

 

(−累次にわたった補正予算− 平成23年12月14日成立 平成23年度予算)

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