ご利用案内
よくあるご質問
サイトマップ
お問い合わせ
新日本法規出版株式会社
e-hoki
home
ニュース&ダイジェスト
総合
法令
判例
税務・会計
コラム
T&A master
LIMM Webmagazine

HOME > ニュース&ダイジェスト 法令 > 法案の解説と国会審議 > 「働き方改革のための法整備」

法案の解説と国会審議

働き方改革のための法整備

〜働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律〜

平成30年7月6日公布 法律第71号

著者:高澤和也

1.法案の提出と成立

あらゆる場で誰もが活躍できる“一億総活躍社会”の実現を目指す政府は、平成28年6月、「ニッポン一億総活躍プラン」を定め、その中の“最大のチャレンジ”として「働き方改革」を位置付けた。仕事と子育ての両立、女性のキャリア形成等を阻む「長時間労働の是正」をし、「多様で柔軟な働き方の実現」をすること、均等待遇の実現など「非正規雇用の待遇改善」をすることが、一億総活躍につながるという論理である。

今回の法律は、同プランの具体化策の1つとして位置付け得るものであり、その法案は、〜輙を議長とした「働き方改革実現会議」での議論を経て平成29年3月に定められた「働き方改革実行計画」と、∀働政策審議会の関係分科会等での検討・同審議会本体による建議等を踏まえて取りまとめられ、平成30年の通常国会に提出された。

なお、この法律には、いわゆる「高度プロフェッショナル制度の創設」も盛り込まれている。これは、平成27年の通常国会に提出されたが廃案となった「労働基準法等の一部を改正する法律案」(第189回国会閣法第69号)にあった改正項目であるが、「働き方改革実行計画」において、「多様で柔軟な働き方の実現」に関するものと位置付けられ、この法律に盛り込まれることとなったようである。また、法案の立案段階では、これに加え「企画業務型裁量労働制の見直し」も盛り込まれていた。しかしながら、この裁量労働制の見直しは、法案の取りまとめの過程で削られることとなった。これは、法案提出前の予算委員会での審議の中で、政府が依拠した“裁量労働制で働く者の労働時間に関するデータ”に疑義が呈され、裁量労働制の見直しについては“厚生労働省で実態を把握した上で議論し直す”(大臣答弁)こととなったからである。

その他、この法律には、中小企業への激変緩和策など、上記 Ν△乃掴静されていた内容から変更となった部分がある。

法案の提案後も、国会においては論戦が繰り広げられた。そうした中、衆議院で一部修正がなされ、平成30年6月末に参議院で可決・成立した。

2.法改正の概要

上記で触れたように、今回の改正の主なねらいは、「長時間労働の是正・多様で柔軟な働き方の実現」と、「非正規雇用の待遇改善」である。改正法は、これらと「働き方改革の総合的・継続な推進」を合わせた3本の柱で構成されている。

(1) 長時間労働の是正・多様で柔軟な働き方の実現等

時間外労働の上限規制の導入(平成31年4月1日施行。ただし、中小企業については平成32年4月1日から適用)

原則、月45時間、年360時間を上限とする。臨時的な特別な事情がある場合は、例外として、単月100時間未満・複数月平均80時間が上限となる(この例外を適用し得るのは、年のうち6か月までで、他の期間と合わせて年720時間を超えてはならない)。

※ 自動車運転、建設事業、医師、新技術・新商品開発など、一部、適用が猶予され、又は適用が除外される事業・業務がある。

中小企業への割増賃金率の適用の見直し(平成35年4月1日施行)

月60時間を超えて行われた時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への適用が猶予されてきたが、その猶予措置を廃止する。

一定日数の有給の確実な取得(平成31年4月1日施行)

10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、使用者に対し、そのうちの5日を毎年時季を指定して与えなければならない旨の義務を課す。

労働時間の状況把握の実効性確保(平成31年4月1日施行)

使用者に、労働時間の状況の把握義務を課す(安衛法を改正。把握の仕方は省令で規定)。

フレックスタイム制の見直し(平成31年4月1日施行)

フレックスタイム制の「清算期間」の上限を3か月に延長する(現行は1か月)。

高度プロフェッショナル制度の創設(平成31年4月1日施行)

次の(a)〜(d)の要件などを満たす労働者について、労働基準法の労働時間、休日、深夜の割増賃金等に関する規定の適用を外す特例を適用し得るようにする。

(a) 職務の範囲が明確で、一定の年収を有する(具体的には、省令で規定。年1,000万円以上を想定との説明あり)

(b) 高度の専門的知識等を必要とし、従事した時間と成果の関連性が通常高くないと認められる業務に従事(具体的には、省令で規定)

(c) 健康確保措置(下記)が講じられる

・ 使用者が、その労働者について、事業場内にいた時間と、事業場外で労働した時間の合計時間(=「健康管理時間」)を把握すること。

・ 年間104日(かつ、4週間を通じて4日以上)の休日を確保すること。

・ 次のいずれかの措置

顱ゞ侈慨屮ぅ鵐拭璽丱訌蔀屬亮損棔紛般崖始から24時間の間に一定時間以上の継続した休息時間を確保すること等)

髻〃鮃管理時間に上限を設定すること。

鵝’に1回以上、継続した2週間の休日(労働者が希望すれば1週間ずつに分割可)を与えること。

堯^貭蠅両豺腓坊鮃診断を実施すること。

・ 健康管理時間の状況に応じ、有給休暇の付与等の一定の措置が講ぜられること。

(d) その労働者が特例の適用に同意していること。

※ 特例の適用には、事業場に、労働条件について調査審議する労使双方の代表から成る委員会(労使委員会)があり、その委員の5分の4以上による決議が行われる必要がある。

※ 特例の適用を受ける労働者について、健康管理時間が一定時間を超える場合には、事業主は、医師による面接指導を受けさせなければならない。

勤務間インターバル制度の普及促進(平成31年4月1日施行)

事業主に対し、前日の就業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保する努力義務を課す。

企業単位での労働時間等の設定改善に係る取組促進(平成31年4月1日施行)

年次有給休暇の計画的付与等につき、企業全体を通じて1つの「労働時間等設定改善企業委員会」の決議をもって、労使協定に代えることができることとする。

産業医・産業保健機能の強化(平成31年4月1日施行)

産業医の選任義務のある労働者数50人以上の事業場の事業主につき、産業医による勧告の衛生委員会への報告義務、産業医に対する必要な情報の提供義務を規定する。

(2) 非正規雇用の待遇改善(平成32年4月1日施行。ただし、一部の改正は、中小企業については平成33年4月1日から適用)

不合理な待遇の禁止等に係る規定の整備

・ 短時間労働者・有期雇用労働者について、不合理な待遇の禁止に関する規定を一本化し、その待遇についての考慮事項を明確化する。また、有期雇用労働者について、その事業主に対し、通常の労働者と同視すべき場合における均等待遇の確保を義務付ける。

・ 派遣労働者について、派遣元事業主に対し、a) 派遣先の労働者との均等・均衡待遇か、b) 一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務付ける。

説明義務の整備

短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、その事業主に対し、通常の労働者との間の待遇の相違の内容、理由等を説明することを義務付ける。

その他、行政による裁判外紛争解決手続の整備等

(3) 働き方改革の総合的・継続的な推進(平成30年7月6日施行)

「雇用対策法」を改正し、働き方改革の基本的考え方を明らかにし、国に対し、改革の推進についての「基本方針」を定めさせること等を内容とする法律に改める。

3.国会論議の概要

国会での委員会質疑では、高度プロフェッショナル制度の運用や是非をめぐる議論が多くを占めた。ここでは、その中から今後の解釈運用に関わり得る主な質疑を幾つか紹介するとともに、他の改正項目についての同種の質疑も紹介することとしたい。なお、紹介する質問と答弁(関係大臣又は関係府省職員の答弁)は、いずれも、発言そのままではなく、趣旨をまとめたものである。

(1) 高度プロフェッショナル制度に関する論議

【制度の有期雇用労働者への適用の可否】

○月単位や日単位の有期雇用労働者でも適用があり得るか

→ 職務を明確に定めて契約し、成果を上げてもらう制度なので、そういった契約が通常ふさわしいかということはあるが、少し短い単位で契約することに法律上制限はない

【年収要件(2.(1)Δ(a) )関連】

〇通勤手当、家族手当等の手当も含めた額で考えるのか

→ 手当の名目にかかわらず、毎月何万円といったような形で契約上確定している手当が含まれる。実績に応じて支払われるような手当は含まれない

→ 地域手当は、勤務地が変われば額が変動するもので、労働契約により確実に支払われることが見込まれるものとは評価できず、参入しない

〇有期雇用労働者ついて制度を適用する場合には、どう計算するのか

→ 最低支払うべき額は、年収要件の額をその契約期間で案分して計算する

【制度の対象業務の定め方(2.(1)Δ(b) )関連】

○労働者の業務量が過大とならないようにする工夫

→ 具体的な対象業務を省令で定める際、働く時間帯の選択や時間配分について使用者が具体的に指示する業務は対象とならないことも明記することを検討中

【対象者の「健康管理時間」の把握(2.(1)Δ(c) )関連】

〇事業場外で労働する者の「健康管理時間」の把握方法

→ 客観的な把握が困難であるなど、やむを得ない場合に限って自己申告によって把握

→ 労働基準監督署の監督指導の際、必要がある場合には労働者本人から聴き取りを実施

〇「健康管理時間」が把握されていない場合、高度プロフェショナル制度の適用関係は、如何

→ 把握する措置を実施していない時点まで遡って、制度は無効になる

〇制度が遡って無効となった場合には、いわゆる残業手当を支払う必要があるが、時間外労働の時間数をどう把握するか

→ タイムカード、PCの起動時間等の記録確認、労働者からの聴取等によって特定

○「健康管理時間」の把握義務しかないのでは、実労働時間が分からず、労災認定が困難

→ 健康管理時間の把握方法として、タイムカードやPCの起動時間等を見ることを想定しており、そうしたデータを踏まえて実労働時間を把握

→ 一般の労働者の労災認定の場合も、労働時間の記録に加え、PCのログイン記録、入退館記録、同僚への聴取など様々な方法で実労働時間を把握。そうした調査方法は同じ

【休日の確保(2.(1)Δ(c) )関連】

○措置の実施状況についての労働基準監督署によるチェック方法

→ 記録を社内に保存することを義務付け、労働基準監督官による監督などの際に用いるという方法があり得るが、法案成立後に検討していく

〇有期雇用労働者について制度を適用する場合には、確保すべき休日の日数をどう計算するか

→ 年単位で確保すべき104日を契約期間で案分した日数とする

【対象労働者の同意要件(2.(1)Δ(d) )関連】

〇黙示の同意も含まれるか

→ 含まれない

〇同意を撤回する労働者に対する不利益取扱いの防止策

→ (衆議院での修正で、“同意を撤回する場合の手続を労使委員会で決議しておかなければならない”ことにする改正が追加されたことを踏まえ)労使委員会の決議する事項についての指針を定めることとしており、その指針の中で、不利益取扱いの禁止を明確化する

【その他 高度プロフェッショナル制度関連】

〇制度の適用を受ける労働者に対し、その職務範囲はどう明示されるのか

→ 労働契約の内容となる「職務記述書」で明確に書いてもらうことを想定

〇制度の適用に事業場の従業員数は関係するか

→ 事業場の従業員規模は要件としていない。中小企業でも要件を満たせば導入可能

〇派遣労働者への適用の可否

→ 派遣労働者に適用することはできない

〇「企画業務型裁量労働制」とは異なり、労働者の職務経験の有無を考慮しない理由

→ 労働条件について相当交渉能力が高く、転職も選択できるような者を適用対象として想定しているため、採用時から制度の適用を可能としている

〇制度の適用を前提とした求人は可能か

→ 認められる。求人票でその旨を明示するよう、指針に定めることを検討中

〇使用者からの制度の適用の解除の可否

→ 使用者側が一方的に解除できる仕組みとはなっていない。労使委員会で話し合い、一定の条件下で労働者を制度の対象から外すといった措置を決議しておくことは考えられる

(2) 他の改正項目に関する論議

【時間外労働の上限規制(2(1) 亡慙◆

○月単位の規制について、月末から翌月の前の方に仕事が集中し、月の途中から翌月の途中までの1か月分を切り出して見ると上限を超える場合は、どうなるか

→ 月単位の規制は、一定の起算日を特定し、その日から1か月分の期間について判断される

〇副業、兼業する労働者の上限規制はどうなるか

→ 各事業場での労働時間を通算して規制の範囲内になるようにする必要がある

【「労働時間の状況の把握」義務(2(1)ぁ亡慙◆

○把握すべき「状況」とは何か

→ 在社時間を把握することでもよいし、休憩時間等を控除した労働時間を把握してもよい

→ 労働者一人一人について把握が必要。裁量労働制などみなし労働時間の適用を受ける者、管理監督者も含めて、把握が必要

【短時間労働者・有期雇用労働者についての不合理な待遇の禁止に関する規定の一本化(2(2) 亡慙◆

○有期雇用労働者に関し、既存の規定(労働契約法第20条)を削り、パートタイム労働法に短時間労働者と併せて規定することとなるが、法的効力は変化するか

→ 法的効力に変化はないものと考えている

【有期雇用労働者の均等待遇の確保(2(2) 亡慙◆

○定年後に継続雇用の形で有期雇用労働者となっている者も対象となるか

→ 保護の対象。退職一時金、公的年金の支給等を勘案することを許容するかは、今後検討

4.今後について

国会審議では、上記のような質疑を経て、衆参両院の委員会において附帯決議が行われており、特に参院では膨大な項目が決議されている。政府においては、そうした質疑・決議も踏まえ、関係省令や指針の策定などが進められており、その動向が注目される。例えば、多くの議論が行われた高度プロフェッショナル制度の対象業務や年収要件等を定める省令案は、昨年末に、労政審関係分科会での了承、パブリックコメント手続が行われている。

<参考> https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580_00011.html

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495180264&Mode=1

次の記事→

民泊の法制度化による規制

 

(〜住宅宿泊事業法・旅館業法の一部を改正する法律〜 平成29年6月16日公布 法律第65号・平成29年12月15日公布 法律第84号)

 タイトル一覧

このページの先頭へ
法律の電子書籍販売サイト-eBOOK STORE
新日本法規オンライン
新日本法規出版 Webショップ
新日本法規の公式Facebookページです。
新日本法規の公式Twtterページです。
セミナーのご案内
パートナーシップ業務提携企業
ウエストロー・ジャパン株式会社
ウエストロー・ジャパン株式会社
株式会社ロータス21
株式会社ロータス21
販売支援企業
日本電算企画株式会社
日本電算企画株式会社
Copyright(C) 2007. SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.

会社情報

|

採用情報

|

会員規約

|

プライバシーポリシー

|

特定商取引法に基づく表示