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HOME > ニュース&ダイジェスト 法令 > 法案の解説と国会審議 > 「NPOの参加による自然再生の本格化なるか」

法案の解説と国会審議

NPOの参加による自然再生の本格化なるか

―自然再生推進法の成立―

平成14年12月11日公布 法律第148号

著者:鈴木 友紀

 平成14年12月4日、第155回臨時国会において「自然再生推進法」が成立し、本年1月1日に施行された。本法は、非営利組織(NPO)を始めとする地域の主導により自然再生事業を推進しようとするものであるが、民間活動団体(NGO)の間からも懸念や批判が出されるなど課題も多い。

本法案提出の経緯
 ここ数十年の間に、様々な開発が行われたことにより、我が国の自然生態系は衰弱しつつある。例えば、昭和20年に比べ約4割の干潟が消滅し、自然海岸についても本土では既に5割以上が失われている。
 こうした中、「21世紀『環(わ)の国』づくり会議」(内閣総理大臣主宰)が平成13年7月にまとめた報告書の中で、初めて「自然再生型公共事業」という言葉が登場し、我が国の自然生態系をよみがえらせるため、積極的に自然を再生する公共事業を推進すべきことが提言された。また、同年12月に総合規制改革会議が発表した「規制改革の推進に関する第1次答申」や翌14年3月に決定された「新・生物多様性国家戦略」においても、自然再生事業の必要性が強調された。
 このような政府の動きと平行して、平成13年10月より与党プロジェクトチームにおいて自然再生を推進するための法案が検討され始め、翌14年5月に本法の土台となる与党案がまとめられた。この与党案を基に、NGOからのヒアリングや与野党調整が行われ、目的規定に「生物多様性の確保」を加えるなど、幾つかの修正が行われた上で、第154回通常国会の終盤である7月24日に、議員立法として「自然再生推進法案」が提出された。しかし、同国会では継続審査となり、その審議は第155回臨時国会に持ち越された。

本法の概要
 本法の大きなポイントは、自然再生事業を実施する仕組みの中に、NPOの参加を明確に位置付けたことにある。自然再生の定義や基本理念の中で、地域の多様な主体の1つとしてNPOを掲げているほか、自然再生協議会の構成員としてもNPOが挙げられており、計画段階から自然再生事業にNPOが参加することが可能となった。

自然再生の定義
 本法では、「自然再生」を過去に損なわれた生態系等を取り戻すため、NPOを始めとする地域の多様な主体が参加して、自然環境を保全、再生、創出、維持管理することと定義付けている。

基本理念
 自然再生についての基本理念として、<1>関係行政機関、地域住民、NPO等地域の多様な主体の連携、<2>自然の復元力や科学的知見に基づく事業の実施、<3>事業のモニタリングとフィードバックの実施等、5項目を定めている。

自然再生基本方針
 政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための「自然再生基本方針」を策定することとされ、この基本方針の中で、協議会や全体構想、実施計画等に関する基本的事項が定められる。

自然再生協議会
 自然再生事業の実施に当たっては、実施者が、地域住民、NPO、関係行政機関等によって構成される「自然再生協議会」を組織することとされ、同協議会が、自然再生の対象となる区域や目標等を定める「自然再生全体構想」を作成することとなった。また、実施者は、この全体構想に基づいて「自然再生事業実施計画」を作成することとされた。

自然再生推進会議・専門家会議
 環境省、農林水産省、国土交通省の職員で構成される「自然再生推進会議」が設置され、自然再生を推進するための連絡調整を行うこととされた。併せて、自然環境に関し専門的知識を有する者によって構成される「自然再生専門家会議」が設置され、主務大臣(環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)や自然再生推進会議は専門家会議の意見を聴くものとされた。

国会における主な論議

 本法は、平成14年11月19日に衆議院において修正議決された後、参議院において12月4日に可決・成立した。なお、参議院の環境委員会において、<1>従来型公共事業の延長ではない自然再生事業の実施、<2>自然再生協議会の透明性確保、<3>NPO等に対する財政的・技術的支援措置等を内容とする7項目の附帯決議が付された。
 以下、衆参の環境委員会において取り上げられた主な論点を紹介する。

従来型公共事業との相違
 「自然再生」の名の下に新たな公共事業が行われ、逆に環境が破壊されることへの懸念や、従来型の公共事業が引き続き行われていることに対する反省の視点が本法に不足していることを指摘する質疑が相次いだ。これは、NGO等が最も問題視した点でもある。これに対し、政府及び法案発議者は、自然再生事業は、NPO等多様な主体からのボトムアップ方式によって計画されるため、新たな公共事業の拡大にはつながらないと強調した。また、現在行われている公共事業については、河川法など個別法の環境調和条項や環境影響評価の実施等によって、環境保全への取組は適切に行われているとした。

国土のグランドデザインの必要性
 自然再生に関する全国的な計画が存在しない本法の下では、無秩序な自然再生が行われる可能性が残るため、エコロジカル・ネットワークを踏まえた国土全体のグランドデザインに基づき自然再生を実施すべきとの主張がなされた。この点に関しては、発議者から、本法は地域からのボトムアップで自然再生を行う趣旨である旨が述べられたほか、政府から、エコロジカル・ネットワークの構築について、生物多様性を保全する上で重要課題と認識しているとの発言があった。

客観的・科学的評価システムの導入
 自然再生事業実施計画が不適切なものであったり、計画の実施段階で環境破壊等の問題が生じた場合、本法では、計画の見直しや事業の中止を実施者に求める仕組みとはなっていない。そのため、第三者機関の設置による監視体制の充実や事業に歯止めをかける制度の導入など、事業を客観的・科学的に評価するシステムの必要性が問われた。これに対し、政府等は、実施計画に対する主務大臣による助言、自然再生協議会による監視等が行われることを説明した上で、事業の継続が適切ではないと判断される場合は中止もあり得るとの見解を示した。

協議会の参加者
 本法には、自然再生協議会のメンバー選定について、具体的な規定がないため、実施者に都合の良いNPO等が恣意的に選ばれるおそれがあるとして、メンバー選定の公平性・透明性確保の必要性が指摘された。これに対し、発議者から、協議会に参加したい者は基本的に全員参加できる旨が述べられたほか、自然再生基本方針の中に、協議会の組織に当たっては幅広い参加を確保する旨を明記していく方向であるとした。

NPOの自主性確保等
 霞ヶ浦で先駆的に実施されている自然再生事業のアサザプロジェクトにおいて、NPOと国土交通省の間で問題が生じていることを指摘した上で、NPOの自主性の尊重や支援体制の充実について、政府の見解が質された。政府は、NPO等の主体性を尊重し対等なパートナーシップの構築に努めたいとしたほか、支援策については、地球環境基金を活用した助成、自然再生活動に関する情報整理等を例に挙げ、充実に努めたいと説明した。

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 本法による自然再生事業実施の仕組みは、発議者自身が「緩やかであるばかりに少し漠然として曖昧模糊なところがある」と述べているとおり、非常に緩やかなものであるため、本法は、自然再生に関する理念や方針が中心の法律となっている。そのため、自然再生事業の成否は、本法の理念に沿った適切な運用いかんであると言えよう。NPOの積極的な参加の下、地域の主体性を生かした本法の仕組みを活用し、従来型公共事業とは異なる新しい形で、多くの自然再生事業が実施されることを期待したい。

<関連法令>
 ・平成14年12月11日 法律148号
  自然再生推進法(環境省)
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