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『裁判員裁判が始まりました。(2) 〜裁判員の負担〜

第1例目の裁判員裁判は、判決まで4日を、第2例目は3日を要しました。

いずれもずいぶんと長いように感じます。

一週間に4日も拘束されたら、自分の仕事は全く進まないのではないでしょうか。あるいは家事育児には第三者の協力が必須といえます。

また、時間的拘束も大変ですが、裁判員の心理的負担もかなりのものと思われており、実際の裁判員も、審理後のインタビューで「大変疲れた」と口をそろえたのが印象的です。

しかし、それでも第1例目、第2例目の裁判は、いずれも被告人が犯罪自体を争っていない案件でした。

被害は重大ですが、このような案件の審理自体は、実はさほど複雑ではなく、一般的な刑事事件といえます。裁判員裁判は、裁判員が参加する公判が始まる前に、裁判所、検察官、弁護士が公判で審理する争点を整理し、絞り込んでいます。そのために4日程度での審理・判決が可能となるのです。

しかし「刺したのは別人だ」(否認事件)とか、「相手から殺されそうになったから防御したら刺してしまった」(正当防衛)という反論がある場合はどうでしょう?

この場合、量刑だけではなく、その人が有罪か無罪かまで検討する必要があり、審理は大変複雑になります。

このようなケースは重大事件でもしばしば生じますので、審理の日数は4日では済まないかもしれません。

裁判員制度が始まる前から、裁判員の負担は議論されてきましたが、実際に数日間拘束されている裁判員の姿を目にすると、にわかに現実味を帯びてくるものです。

とはいえ、安易に審理日数を短くすることはできません。

被害者がいる犯罪について軽々しく刑を決めることもできませんし、懲役刑は、人の身柄を長期間拘束し、自由を奪うものです。必要な争点はとことん審理してもらわねばなりません。


判員制度は始まったばかり。

弁護士が想定しないような質問が飛び出したり、刑事手続きが市民の注目を浴びたり、刑事手続きに新しい風が吹き込まれたことは間違いありません。

今後、裁判員の時間的負担、精神的負担と、慎重な審理のバランスをどう取っていくのか、大切な課題となっています。

(2009年8月執筆)

執筆者プロフィール

石渡真維(弁護士)

2000年11月 司法試験合格

2002年10月 弁護士登録

2002年10月 渥美雅子法律事務所入所

2004年8月 山田秀雄法律事務所(現・山田・尾崎法律事務所)入所

2006年5月 法律事務所オーセンス開設

2008年1月 ポラリス法律事務所入所

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