毎月、裁判員制度に関するコラムを掲載します。
裁判員裁判の運営
公判前整理手続きを経て、いよいよ裁判員裁判が開廷します。
裁判員は、日程を限定して呼び出されていますので、その日程の中で裁判を終わらせねばなりません。そのため、審理は分刻みで予定されたスケジュールに従って進められています。
しかし、証人尋問で証人が緊張してうまく回答が進まなかったり、新しい発言によって質疑が紛糾したり・・・・・裁判はシナリオどおりには行きません。
既に行なわれた裁判員裁判でも、時間切れによって翌日に回された審理もありました。
また、裁判員の理解を確認するために、いったん休廷し、控え室で裁判官が裁判員と協議する時間を取る対応もなされています。事件が難しくなるほど、この休廷時間も大切になってきます。
例えば被告人が罪を犯したこと自体を否定する「否認」事件の場合など、争点が複雑になるほど、審理も予定通りに進まない可能性が出てきます。今後、事件によっては予備日などを設けて対応する場合もあるでしょう。
裁判員裁判は、裁判員が仕事などを休んで呼び出されていますから、連日開廷されます。
これまでの裁判は、だいたい月に一回ペースでした。ですから、弁護士も期日と期日の間に、十分準備をすることができたのですが、連日開廷となると、全ての準備を一気に行なう必要があります。
通常の争点の争い方や、主張内容を精査する以外に、それをいかに裁判員に伝えるかというプレゼンテーション方法を考えたうえ、そのためのイラストや、モニターに映すためのパワーポイント資料の準備など、これまでにない準備が沢山必要になりました。
弁護士は、通常、刑事事件だけではなく顧問先の相談、民事裁判、契約書の作成などの仕事をしています。刑事事件は突発的に起こるため、予め、そのために時間を空けておくということはできません。そこで、弁護士はいつもの仕事の合間に、刑事事件をこなすことになります。東京で行なわれた最初の裁判員裁判では、弁護人は実に、300時間をその準備に費やしたとのことです。弁護士はいつもの仕事に加え、数ヶ月の間に300時間をひねり出さねばならず、まさに寝る間もありません。
裁判員裁判の適正な運営のため、裁判官、検察官、そして弁護士の新たな使命を担った奮闘は始まったばかりです。
(2009年9月執筆)
執筆者プロフィール
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石渡真維(弁護士) 2000年11月 司法試験合格 2002年10月 弁護士登録 2002年10月 渥美雅子法律事務所入所 2004年8月 山田秀雄法律事務所(現・山田・尾崎法律事務所)入所 2006年5月 法律事務所オーセンス開設 2008年1月 ポラリス法律事務所入所 |
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